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〜中国市場の大幅減で全体は前年割れ。一方、韓国・台湾・欧米・中東など14市場で8月過去最高〜

今回は、2026年8月の訪日インバウンド速報をもとに、最新の市場動向を整理します。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2026年8月の訪日外客数は3,098,900人(前年同月比▲9.6%)となりました。

全体では前年同月を下回りましたが、韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、インド、米国、メキシコ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、北欧地域、中東地域の14市場で8月として過去最高を記録しています。さらに、イタリアとスペインでは単月過去最高を更新しました。

今回も全体を大きく押し下げたのは中国市場です。

中国からの訪日客数は418,000人(前年同月比▲59.0%)となり、前年同月の100万人超から大きく減少しました。

一方で、韓国は85万人超、台湾も66万人超と高い水準を維持。欧米や中東などでも前年を上回る市場が多く、「全体は減少しているものの、インバウンド需要そのものが一様に弱まっているわけではない」という構図が、8月も続いています。


|中国市場の大幅減が全体を押し下げ。一方で14市場が8月過去最高

8月の訪日外客数は3,098,900人(前年同月比▲9.6%)となりました。

前年同月の3,428,406人から約33万人減少しており、7月の+0.1%から再び前年割れとなっています。

その大きな要因が、中国市場です。

中国からの訪日客数は418,000人(▲59.0%)。中国政府による日本への渡航注意喚起や航空便の減便などが引き続き影響しています。スクールホリデーによる旅行需要はあるものの、前年同月を大きく下回る結果となりました。

一方、他市場では好調な動きも多く見られます。韓国は850,500人(+28.7%)、台湾は666,000人(+7.3%)、香港は247,300人(+9.4%)、米国は197,400人(+1.5%)、メキシコは18,600人(+37.0%)、中東地域は22,900人(+24.8%)となりました。

8月は、中国市場の落ち込みに加えて、東南アジアの一部市場で夏場の訪日需要が落ち着く時期だったことや、航空便の減便、台風による欠航なども全体の数字に影響しています。


|各エリアの詳細

■東アジア:韓国・台湾・香港は堅調、中国は約6割減

東アジアでは、今回も中国とその他3市場で大きく動きが分かれました。

韓国は850,500人(+28.7%)となり、8月として過去最高を記録しました。台風による航空便への影響はあったものの、継続する訪日旅行人気、スクールホリデー、航空座席数の増加などが訪日需要を押し上げています。

台湾は666,000人(+7.3%)。台風による航空便やクルーズ船への影響があったものの、訪日旅行人気やスクールホリデー、航空座席数の増加などにより、8月として過去最高となりました。

香港も247,300人(+9.4%)となり、8月として過去最高を記録しています。

一方、中国は418,000人(▲59.0%)と大幅な減少が続いています。

短期的な集客・店頭購買を狙う施策では、韓国・台湾・香港の重要性が相対的に高まっています。一方、中国は依然として大きな潜在市場ではあるため、現在の需要だけで判断するのではなく、渡航環境や航空便の回復を見ながら中長期で捉える必要があります。


■東南アジア・インド:市場ごとの差が鮮明に

東南アジアでは、夏場に訪日需要が落ち着きやすいこともあり、市場によって明暗が分かれました。

タイは32,200人(▲9.3%)。前年には特別休日による4連休があったことに加え、航空便の減便や訪中旅行人気なども影響し、前年同月を下回りました。

フィリピンも39,100人(▲11.6%)、ベトナムも56,600人(▲7.5%)となっています。フィリピンでは祝日の並びや航空便数の減少、ベトナムでは訪中旅行人気などが影響しています。

一方で、マレーシアは26,000人(+23.0%)、インドネシアは32,500人(+3.4%)となり、ともに8月として過去最高を記録しました。シンガポールも21,600人(+5.3%)と前年を上回っています。

インドも19,500人(+4.7%)となり、8月として過去最高を記録しました。デリー〜成田線、ムンバイ〜羽田線などの新規就航が訪日需要を後押ししています。

東南アジア市場は、「東南アジア」という括りで一律に考えるよりも、国別の休暇時期、航空アクセス、競合旅行先との関係などを踏まえて市場選定する必要があります。


■北米・豪州:米国・メキシコは好調、豪州・カナダは前年割れ

北米・豪州市場も国ごとの差が見られました。

米国は197,400人(+1.5%)となり、8月として過去最高を記録しました。訪日需要が比較的落ち着く時期でありながら、継続する訪日人気やスクールホリデーが需要を支えています。

特に伸びが大きかったのがメキシコで18,600人(+37.0%)となり、8月として過去最高を記録しました。

一方、豪州は38,200人(▲7.4%)。JNTOでは、現地物価上昇などによる海外旅行抑制の動きが要因として挙げられています。

カナダも50,600人(▲1.8%)となり、前年同月をわずかに下回りました。

欧米豪市場は訪日人数だけでなく、滞在期間、消費単価、地方周遊、食・文化・自然体験などとの相性まで含めて評価したい市場です。


■欧州:イタリア・スペインが単月過去最高

欧州では、多くの市場が堅調に推移しました。

フランスは40,300人(+8.4%)となり、8月として過去最高を記録。

イタリアは47,300人(+15.1%)、スペインは36,500人(+14.1%)となり、両市場とも単月として過去最高を更新しました。バカンスシーズンやスクールホリデーに加えて、スペインではマドリード〜成田間の増便も追い風となっています。

ロシアも14,400人(+10.4%)で8月として過去最高、北欧地域も9,400人(+3.9%)で8月として過去最高となりました。

一方、英国は36,600人(▲0.2%)とほぼ前年並み、ドイツは33,700人(▲5.5%)となっています。ドイツでは一部州でスクールホリデーが前年より早く終了したことなどが影響しています。

欧州市場は絶対数では東アジアほど大きくありませんが、地方誘客や長期滞在、高付加価値体験などを目的とした施策では引き続き重要な市場です。


■中東地域:+24.8%、8月として過去最高

中東地域は22,900人(前年同月比+24.8%)となり、8月として過去最高を記録しました。

継続する訪日旅行人気に加え、一部路線における航空便の再開・増便やスクールホリデーが需要を後押ししています。

2026年前半には地域情勢や航空便の運休・減便による影響も見られましたが、直近では航空ネットワークの回復に伴い訪日客数も伸びています。

国際情勢の影響を受けやすい市場ではあるものの、高付加価値旅行やファミリー旅行などとの相性も良く、今後も動向を見ていきたい市場です。


|1〜8月累計は2,762万人、前年同期比▲2.7%

2026年1〜8月の累計訪日外客数は27,626,300人(前年同期比▲2.7%)となりました。前年同期の28,384,099人から約76万人減少しています。

その大きな要因となっているのが、やはり中国市場です。

中国は1〜8月累計で2,904,600人(▲56.7%)。前年同期の6,711,851人から約381万人減少しています。

一方で、韓国は7,420,300人(+21.2%)、台湾は5,402,000人(+19.8%)、香港は1,818,300人(+8.7%)、米国は2,305,300人(+6.1%)となっています。メキシコは+28.0%、インドは+20.2%、中東地域は+16.3%と、新興・成長市場でも高い伸びが続いています。

2026年1〜8月の訪日客全体は前年から約76万人減っていますが、中国だけで約381万人減少しており、中国を除く市場では前年から約305万人増えている計算になります。

この点からも、2026年のインバウンド市場を「前年割れ=市場全体が弱い」と捉えるのは適切ではありません。

中国市場の大幅減という特殊要因の一方で、その他の市場では訪日需要の拡大が続いているというのが、現在のインバウンド市場の実態に近いと言えます。


|今月のポイント:中国の影響がさらに鮮明。一方で市場の多極化は継続

2026年8月の訪日外客数は3,098,900人(前年同月比▲9.6%)となりました。

7月は前年同月比+0.1%で7月過去最高を記録しましたが、8月は中国市場の大幅な落ち込みに加えて、東南アジアの一部市場、豪州、カナダ、ドイツなどでも前年割れとなったことで、全体では約1割の減少となりました。

ただし、韓国・台湾・香港をはじめ、マレーシア、インドネシア、インド、米国、メキシコ、フランス、イタリア、スペイン、中東などでは堅調な訪日需要が続いています。

特に1〜8月累計を見ると、中国以外の市場全体では前年を大きく上回っている点は重要です。

今後のインバウンドマーケティングでは、「訪日客数が多い国」という基準だけではなく、市場ごとの成長率、航空アクセス、休暇時期、旅行消費額、SNSトレンド、自社の商品・地域との相性などを見ながら、ターゲット市場を選定していくことがますます重要になります。

例えば、短期的な来店・購買を狙うのであれば韓国・台湾・香港、地方誘客や体験消費であれば欧米豪、高付加価値旅行では中東など、目的によって狙うべき市場は変わります。

中国市場についても現在の数字だけで見切るのではなく、渡航注意喚起や航空便の動向を見ながら、回復局面に備えておくことが重要です。

インバウンド市場全体を見るのではなく、「どの市場が、なぜ増えているのか」「自社・地域にとってどの市場が有望なのか」まで分析することが、これからのインバウンド施策では重要になっていきます。

カルチベートでは、最新データに基づく市場分析から、課題や目的に応じたターゲット市場の選定、SNS・インフルエンサー施策、広告、リテール施策、サンプリングなど、インバウンドマーケティングの企画・実施を一貫してサポートしています。

訪日インバウンド施策をご検討中の企業・自治体の皆さまは、ぜひお気軽にカルチベートまでご相談ください。

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」