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〜7月として過去最高を記録。中国市場の減少が続く一方、韓国・台湾・欧米・中東が伸長〜

 今回は、2026年7月の訪日インバウンド速報をもとに、最新の市場動向を整理します。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2026年7月の訪日外客数は3,442,100人(前年同月比+0.1%)となりました。前年同月とほぼ同水準ではあるものの、7月としては過去最高を記録しています。

また、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシア、北欧地域、中東地域の17市場で7月として過去最高を記録しました。

 特に台湾は763,800人(前年同月比+26.4%)となり、単月として過去最高を更新。初めて70万人を超える結果となっています。

 一方で、今回も全体の伸びを抑えた大きな要因は中国市場の減少です。中国からの訪日客数は428,200人(前年同月比▲56.1%)となり、引き続き大幅な減少となりました。

 2026年7月は、全体では7月として過去最高を記録したものの、中国市場の落ち込みが続き、その一方で韓国・台湾・香港・欧米・中東など複数市場が下支えした月と言えます。


|中国市場の大幅減が続く一方、韓国・台湾・香港が大きく伸長

 7月の全体を押し下げた大きな要因は、引き続き中国市場の減少です。

 中国からの訪日客数は428,200人(前年同月比▲56.1%)。中国政府による日本への渡航注意喚起や、航空便の減便などが影響し、前年同月を大きく下回りました。1〜7月累計でも、中国は2,486,500人(前年同期比▲56.3%)となっており、全体の前年割れに大きく影響しています。

 一方で、他市場では好調な動きも見られます。

  • 韓国:894,700人(+31.9%)
  • 台湾:763,800人(+26.4%)
  • 香港:272,500人(+54.8%)
  • 米国:286,200人(+3.3%)
  • 中東地域:28,200人(+41.0%)
  • メキシコ:23,100人(+16.8%)

 つまり、2026年7月は、中国市場の落ち込みが全体の伸びを抑える一方で、韓国・台湾・香港・米国・中東などが下支えした月と言えます。

 特に7月は、夏季休暇やスクールホリデー、バカンスシーズンの影響が出やすい月です。国・地域ごとの休暇時期や航空便の状況によって訪日需要が大きく変わるため、単純に市場規模だけを見るのではなく、月ごとの需要要因を見極めることが重要です。


|各エリアの詳細

■東アジア:韓国・台湾・香港は大きく伸長、中国は大幅減が継続

 東アジア市場では、国・地域ごとの明暗がはっきり分かれました。

  • 韓国:894,700人(+31.9%)   ★7月として過去最高
  • 中国:428,200人(▲56.1%)
  • 台湾:763,800人(+26.4%)   ★単月として過去最高
  • 香港:272,500人(+54.8%)

 韓国は、継続する訪日旅行人気に加え、今年から追加された祝日による3連休、スクールホリデー、航空座席数の増加などが追い風となり、7月として過去最高を記録しました。

 台湾も、継続する訪日旅行人気に加え、スクールホリデーや航空座席数の増加、クルーズ船の寄港などが影響し、単月として過去最高を記録しました。初めて70万人を超えており、非常に強い動きとなっています。

 香港は、前年に日本で地震が発生するという情報がSNS等で拡散されていた影響もあり、その反動に加えてスクールホリデーや航空座席数の増加も重なり、大きく伸びました。

 一方、中国は、スクールホリデーの影響はあるものの、中国政府による日本への渡航注意喚起や航空便の減便の影響が続き、前年同月を大きく下回っています。

 短期的な来店・購買施策を考える場合、韓国・台湾・香港は引き続き有力な市場です。一方で、中国は市場規模そのものは大きいものの、政策要因や航空便の影響を受けやすいため、短期的な施策と中長期での回復シナリオを分けて考える必要があります。


■東南アジア・インド:夏場の落ち着きはあるものの、複数市場で7月として過去最高

 東南アジア・南アジア市場では、夏場は訪日需要が落ち着きやすい時期とされていますが、複数市場で前年を上回りました。

  • タイ:53,800人(+10.8%)
  • シンガポール:28,800人(+18.5%) ★7月として過去最高
  • マレーシア:23,800人(+31.4%)  ★7月として過去最高
  • インドネシア:39,000人(+3.7%)  ★7月として過去最高
  • フィリピン:45,100人(▲4.8%)
  • ベトナム:52,100人(▲2.7%)
  • インド:20,300人(+10.9%)    ★7月として過去最高

 タイは、航空便の減便や訪中旅行の継続的な人気の影響はあるものの、連休に合わせた訪日需要の高まりもあり、前年を上回りました。

 シンガポールとマレーシアは、夏場の需要が落ち着く時期である一方、継続する訪日旅行人気を背景に、いずれも7月として過去最高を記録しています。

 インドネシアも、航空便の一部運休はあったものの、スクールホリデーや継続する訪日旅行人気が支えとなり、7月として過去最高となりました。

 インドは、デリー〜成田間の新規就航、ムンバイ〜羽田間の新規就航、デリー〜羽田間やムンバイ〜成田間の増便など、航空アクセスの拡充が追い風となり、7月として過去最高を記録しました。

一方で、フィリピンとベトナムは前年を下回りました。航空便数の減少や訪中旅行人気の影響などが要因として挙げられています。

東南アジア・インド市場は、休暇時期、航空路線、訪日目的によって動きが大きく変わります。国ごとの成長性だけでなく、自社や地域の商材・体験との相性を見ながら市場選定を行うことが重要です。


■欧米豪:米国・カナダ・メキシコは堅調。欧州はバカンスシーズンで広く伸長

 欧米豪市場は、全体として底堅い動きとなりました。

  • 豪州:49,800人(▲0.7%)
  • 米国:286,200人(+3.3%)    ★7月として過去最高
  • カナダ:56,000人(+7.5%)    ★7月として過去最高
  • メキシコ:23,100人(+16.8%)  ★7月として過去最高

 米国は、継続する訪日旅行人気に加え、スクールホリデーの影響もあり、7月として過去最高を記録しました。

 カナダも、スクールホリデーや航空座席数の増加が追い風となり、7月として過去最高となっています。

 メキシコも、継続する訪日旅行人気とスクールホリデーの影響により、7月として過去最高を記録しました。

 一方で、豪州は継続する訪日旅行人気はあるものの、一部の州におけるスクールホリデーの時期が前年とずれた影響などもあり、前年をわずかに下回りました。

 欧州では、主要市場の多くが前年を上回りました。

  • 英国:41,500人(+11.9%)    ★7月として過去最高
  • フランス:50,700人(+9.7%)   ★7月として過去最高
  • ドイツ:29,800人(+6.1%)    ★7月として過去最高
  • イタリア:25,300人(+15.9%)  ★7月として過去最高
  • スペイン:27,900人(+16.0%)  ★7月として過去最高
  • ロシア:13,000人(+15.4%)   ★7月として過去最高
  • 北欧地域:20,400人(+6.8%)   ★7月として過去最高

 欧州では、スクールホリデーやバカンスシーズンが訪日需要を押し上げています。ウクライナ情勢に伴う飛行ルート変更によるフライト時間増加は引き続き懸念材料ですが、訪日旅行人気そのものは堅調に推移しています。

 欧米豪市場は、地方周遊、自然体験、食、文化体験などとの相性が高い市場です。人数規模だけでなく、滞在日数や消費単価、体験価値との相性を見ながら、自治体や観光施設の施策対象として検討したい市場です。


■中東地域:航空便の再開・増便もあり、7月として過去最高

 中東地域は、28,200人(前年同月比+41.0%)となり、7月として過去最高を記録しました。

継続する訪日旅行人気に加え、一部路線における航空便の再開や増便、スクールホリデーの影響などがプラスに働いています。

 4月時点では中東情勢による航空便の運休・減便がマイナス要因として見られましたが、6月・7月では航空ネットワークの回復や増便が訪日需要を押し上げる動きも見られます。

 中東市場は、国際情勢や航空便の影響を受けやすい一方で、条件が整えば大きく伸びる市場です。富裕層・ファミリー層・高付加価値体験との相性も高く、今後も注視したい市場と言えます。


|2026年1〜7月累計は2,452万人で前年同期比▲1.7%。中国減少をどう捉えるかが重要に

 2026年1〜7月の訪日外客数は、24,527,200人(前年同期比▲1.7%)となりました。

 7月単月では過去最高を記録したものの、累計では前年同期を下回っています。

 その大きな要因が、中国市場の大幅減少です。中国は1〜7月累計で2,486,500人(前年同期比▲56.3%)となっており、前年同期の5,693,104人から大きく減少しています。

 一方で、韓国・台湾・米国・インド・中東などは堅調に推移しています。

  • 全体:24,527,200人(▲1.7%)
  • 中国:2,486,500人(▲56.3%)
  • 韓国:6,569,800人(+20.3%)
  • 台湾:4,736,000人(+21.8%)
  • 香港:1,571,000人(+8.6%)
  • 米国:2,107,900人(+6.5%)
  • インド:230,600人(+21.7%)
  • 中東地域:156,400人(+15.2%)

 ここで重要なのは、インバウンド市場全体が弱まっていると捉えるのではなく、市場ごとの要因を分けて見ることです。

 中国市場は大きく減少していますが、韓国・台湾・香港・米国・インド・中東などは前年を上回っています。つまり、全体の前年割れは中国市場の影響が大きく、その他の市場では訪日需要が引き続き高い水準にあると言えます。

 インバウンド施策では、単に「訪日客数が多い国」を狙うのではなく、自社や地域の課題・目的に合った市場を選ぶことが大切です。

 例えば、短期的な来店や店頭購買を狙う場合は、韓国・台湾・香港のように訪日頻度が高く、リテール接点を作りやすい市場が有力です。

 地方誘客や高付加価値な体験消費を狙う場合は、欧米豪や中東なども検討余地があります。

 FMCGメーカーであれば、訪日中の購買だけでなく、帰国後の指名買い、越境EC、海外展開のテストマーケティングまで見据えた市場選定が重要になります。


|今月のポイント:7月は過去最高。ただし、市場ごとの“伸び方”は大きく異なる

 2026年7月の訪日外客数は、3,442,100人(前年同月比+0.1%)となり、7月として過去最高を記録しました。

 一方で、1〜7月累計では24,527,200人(前年同期比▲1.7%)となり、前年同期を下回っています。この背景には、中国市場の大幅な減少があります。

 ただし、韓国・台湾・香港・米国・欧州・中東など、好調に推移している市場も多く、訪日需要そのものが大きく弱まっているわけではありません。

 2026年7月のインバウンド市場は、全体では7月として過去最高を記録したものの、市場ごとに成長要因・減少要因が大きく異なる月だったと言えます。

 これからのインバウンドマーケティングでは、「訪日客が増えているから施策を行う」のではなく、国際情勢や航空便、休暇時期、SNS上の情報拡散、旅行トレンドを踏まえながら、自社・地域の目的に合ったターゲット国を見定め、適切な施策を実行していくことが重要です。

  • 訪日客数の総数だけでなく、市場ごとの背景要因を見ることが重要
  • 中国市場のように、国際情勢や政策要因で大きく動く市場もある
  • 韓国・台湾・香港は、短期的な来店・購買施策との相性が高い
  • インド・中東・北欧などは、今後の成長市場として注目したい
  • 欧米豪は、地方周遊・自然・食・文化体験との相性が良い
  • 目的に応じて、SNS・店頭・広告・インフルエンサー・多言語導線などを組み合わせる必要がある

 

 インバウンド市場は高水準を維持していますが、国・地域ごとの動きはより複雑になっています。

 だからこそ、データをもとに市場を見極め、ターゲットを定め、施策まで落とし込むマーケティング設計が、今後ますます重要になっていきます。

 カルチべートでは、最新データに基づく市場分析から、課題や目的に応じたターゲット市場の選定、プロモーションの企画・実施まで一貫してサポートしています。訪日インバウンド施策をご検討中の企業・自治体の皆さまは、ぜひお気軽にカルチべートまでご相談ください。


データ出典
日本政府観光局(JNTO)
「訪日外客数(2026年7月推計値)」