Column

【 訪日客は日本国内で接点を持てる「海外の生活者」 】

訪日インバウンドというと、観光地やホテル、飲食店の話として捉えられがちです。
しかし、食品・菓子・飲料・化粧品・日用品・医薬品などを扱う FMCGメーカーにとっても、訪日客は非常に重要なターゲットです。

なぜなら、訪日客は単なる旅行者ではなく、日本国内のリテール現場で接点を持てる“海外の生活者”だからです。

日本を訪れる外国人は、観光を楽しむだけでなく、ドラッグストア、コンビニ、スーパー、量販店、空港、土産店などで商品を購入します。そして、その中には「日本で初めて知った商品」「旅先で試して気に入った商品」「帰国後もまた買いたい商品」が含まれています。

FMCGメーカーにとって、インバウンド向けの店頭施策は、単なる観光客向け販促ではありません。
国内流通を活用しながら、海外消費者に商品を知ってもらい、試してもらい、購入してもらうためのマーケティング施策と言えます。

訪日客は年間4,000万人超の巨大な接点に

日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の年間訪日外客数は42,683,600人。前年比では15.8%増となり、過去最高だった2024年を580万人以上上回って年間過去最高を更新しました。

つまり、訪日客はもはや一時的な観光需要ではなく、年間4,000万人超の海外生活者と日本国内で接点を持てる市場になっています。

通常、海外消費者に商品を知ってもらうには、海外現地広告、現地流通、展示会、越境EC、海外SNS施策などが必要です。
一方で、訪日客向けのリテール施策であれば、すでに日本に来ている海外消費者に対して、国内の売り場を活用して商品接点をつくることができます。これは、多くのメーカーにとって大きなチャンスとなります。

インバウンド消費の中で「買物代」は2.5兆円超

訪日客による消費は、宿泊や飲食だけではありません。買物も、インバウンド消費の大きな柱です。

観光庁の調査によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円。そのうち、買物代は27.0%、金額にして2兆5,541億円を占めており、メーカーにとって無視できない規模となります。

もちろん、買物代には高額品も含まれますが、食品、菓子、飲料、化粧品、医薬品、日用品といったFMCG商材は比較的に購入ハードルが低く、訪日中に購入されやすいカテゴリーです。
高額商品と違い、「試しに買ってみよう」「お土産にちょうど良い」「日本っぽいから買ってみたい」という気持ちで手に取られやすく、店頭での出会いがそのまま購買につながる可能性があります。

ドラッグストアは、訪日客との重要なリテール接点

訪日客による店頭購買において特に注目したいのが、ドラッグストアです。

Paykeの調査によると、訪日観光客の97.4%が日本滞在中にドラッグストアを利用しており、さらに週2回以上訪れる人が約8割にのぼるとされています。

ドラッグストアは、訪日客にとって「必要なものを買う場所」であると同時に、「日本ならではの商品を探す場所」でもあります。

化粧品、スキンケア、ヘアケア、オーラルケア、医薬品、健康食品、菓子、飲料、日用品など、FMCGメーカーの商品と非常に相性の良いカテゴリーが並んでいます。

さらに、訪日客は旅行中に限られた時間で商品を選ぶため、店頭での分かりやすい訴求が重要です。
例えば、

  • 何の商品なのか
  • どんな悩みに効くのか
  • どんな味・香り・使用感なのか
  • お土産向きなのか
  • 日本限定なのか
  • 自国より安く買えるのか

といった情報が一目で伝わるかどうかで、購入率は大きく変わります。

つまり、ドラッグストアや量販店の棚前は、FMCGメーカーにとって認知・理解・体験・購買が同時に起きる重要な接点なのです。

化粧品・食品・日用品など、FMCGカテゴリーには明確なニーズがある

実際に、訪日客はFMCGカテゴリーを積極的に購入しています。株式会社プラネットの調査では、中国・台湾・香港の訪日経験者を対象に、日本製品の利用や訪日時の購入商品について調査しています。

中国では、日本で購入した商品として「滞在中に消費した」と「お土産用として購入した」を合わせると、基礎化粧品87.6%、メイクアップ化粧品84.8%、口腔内ケア用品80.0%が上位となっています。

また台湾では、日常的に日本製品を購入・利用しているカテゴリーとして、医薬品83.9%、食品71.6%、菓子・飲料71.1%、化粧品64.2%、日用品60.7%が挙げられていますさらに、日本訪問時にしたいこととして、「食品・おみやげのお菓子等の買い物」が69.9%、「日用雑貨・化粧品・医薬品の買い物」が66.9%と高い結果になっています。

これらのデータからも、訪日客にとって日本のFMCG商材は、単なるついで買いではなく、旅の目的の一部になっていることが分かります。

特に、化粧品、医薬品、食品、菓子・飲料、日用品は、日常生活で使う商品であるため、訪日時の購入が帰国後の継続購入につながる可能性もあります。

海外テストマーケティングとしての活用

訪日客向け施策のメリットとして、国内の売上を創出するだけなく、海外の生活者の反応を日本国内で見ることができる点にあります。

訪日客は、旅行中は日本のリテールで商品に接しますが、帰国後は自国の生活者に戻ります。
つまり、訪日中に商品を試してもらい、反応を見ることは、海外展開前のテストマーケティングにもなります。

例えば、店頭施策やサンプリング、簡易アンケートを組み合わせることで、次のような反応を確認できます。

  • どの国の人に商品が刺さるのか
  • 味や香りは受け入れられるのか
  • パッケージは分かりやすいのか
  • 価格に納得感があるのか
  • お土産として買いたいのか
  • 自分用として使いたいのか
  • 帰国後も購入したいのか

これらは、海外展開や輸出を検討する際の貴重なヒントになります。

特にFMCG商材は、味・香り・使用感・パッケージ理解など、実際に接触して初めて分かる要素が多いカテゴリーです。
だからこそ、訪日客向けのマーケティング施策は、売上づくりと市場理解を同時に進められる施策として活用できます。

帰国後の“指名買い”まで設計する

訪日客向け施策で重要なのは、訪日中の一回きりの購買で終わらせないことです。

旅行中に買った商品は、記憶に残りやすく、「日本旅行で買って良かったもの」として、家族や友人に共有されたり、SNSで投稿されたりすることもあります。

しかし、帰国後に商品名が分からない、どこで買えるか分からない、現地で売っていない、という状態では、継続購入にはつながりません。

だからこそ、訪日中の接点から帰国後までを設計することが大切です。

例えば、

  • 商品名を英語・繁体字などで表記する
  • QRコードで多言語LPへ誘導する
  • 越境ECや現地ECの購入導線を用意する
  • SNSアカウントを案内する
  • 使用方法やレシピ動画へ誘導する
  • 帰国後アンケートを実施する

といった仕組みを用意しておくことで、訪日中の購買を、帰国後の指名買いやブランド認知につなげることができます。

FMCGメーカーにとって、インバウンド施策は「その場で売る」だけでなく、海外での将来的な需要づくりにもつながるのです。

FMCGメーカーこそ、インバウンド施策を活用するべき

訪日客向けのリテール施策は、FMCGメーカーにとって大きな可能性があります。

2025年の訪日外客数は4,268万人を超え、訪日外国人旅行消費額は9.5兆円規模に到達。そのうち買物代だけでも2.5兆円を超えています。さらに、ドラッグストアなどのリテール接点は訪日客に高頻度で利用されており、化粧品、食品、菓子・飲料、医薬品、日用品といったFMCGカテゴリーには明確なニーズがあります。

重要なのは、訪日客向け施策を単なる観光客向け販促として捉えないことです。

訪日客は、日本国内で接点を持てる海外生活者です。
店頭POP、サンプリング、多言語導線、SNS拡散、簡易調査を組み合わせることで、インバウンド施策は 売上づくり・ブランド認知・海外市場理解・帰国後購買 のすべてにつなげることができます。

FMCGメーカーにとって、インバウンド施策は、国内流通を活用しながら海外生活者にアプローチできる、非常に実践的なマーケティング手法です。

インバウンド市場は、国・地域ごとに消費傾向や購買行動が大きく異なります。
カルチべートでは、最新データに基づく市場分析から、訪日客向け店頭施策、サンプリング、多言語POP、SNSの設計まで一貫してサポートしています。FMCG商材のインバウンド施策をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にカルチべートまでご相談ください。