〜中国渡航規制の影響がじわり。それでも全体は高水準を維持〜
今回は 2025年11月の訪日インバウンド速報をもとに、最新動向をレポートします。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年11月の訪日外国人客数は高水準を維持しました。
10月の記録的な伸び(389万人)からはやや落ち着いたものの、紅葉シーズン後半の需要や欧米豪の安定した訪日意欲に支えられ、コロナ前水準を大きく上回る水準感が続いています。
一方で、11月の特徴として見逃せないのが、中国政府による日本への渡航規制の影響が、数字の一部に表れ始めている点です。
■ ピークアウトではなく「踊り場」
11月は季節的に需要が一服しやすい月ですが、
- 欧米・豪州:安定的
- 東南アジア:引き続き堅調
- 東アジア:市場ごとに明暗
という構図がよりはっきりしました。
特に、中国市場の伸びが鈍化した一方で、
台湾・韓国・東南アジアがそれを補完する形となり、全体としては大きな失速を回避しています。
地域別の動向とトピック
■ 東アジア:中国は減速、周辺市場がカバー
中国:渡航規制の影響が顕在化
11月の中国からの訪日客数は
715,700人(前年同月比 +22.8%) となりました。
前年差ではプラスを維持しているものの、
- 団体旅行に対する規制
- 日本旅行を控えるような中国政府による規制
- 一部路線での販売抑制
といった要因が重なり、10月までの急回復からは明確にトーンダウンした形です。
国慶節・中秋節の大型連休に支えられた10月と比べると、
11月は規制影響が本格的に反映され、中国からの訪日客数については今後も注視が必要になります。
台湾・韓国:引き続き安定
一方、中国以外の東アジア市場は引き続き堅調です。
- 台湾:595,900人(+24.4%)
地方路線・直行便需要が継続 - 韓国:867,200人(+18.4%)
LCCを中心に航空座席供給が安定
中国の落ち込みを、近隣市場がカバーする構図が続いています。
11月は中国一本足打法のリスクが、改めて顕在化しました。
今後の継続的な訪日外国人による消費を維持するためには、台湾・韓国・香港(196,000人/▲1.4%)を組み合わせた「東アジア分散戦略」が必須となると考えられます。
■ 東南アジア:規制の影響を受けにくい“安定市場”
11月も東南アジア主要国は堅調に推移しました。
- インドネシア:53,400人(+23.6%)
- フィリピン:86,200人(+7.4%)
- ベトナム:53,200人(+4.4%)
- マレーシア:57,800人(+4.9%)
円安効果と航空路線の安定供給により、
中国リスクの影響を受けにくい市場として存在感を高めています。
※一方で
- タイ:125,900人(▲4.8%)
- シンガポール:65,700人(▲4.5%)
は季節要因により小幅減となりました。
短期的な外部要因(政治・外交)の影響を受けにくい東南アジアは、
中長期のインバウンド安定エリアとして今後更に重要になってくることが予想されます。
■ 欧米・豪州:11月も高水準、地方・体験型が好調
欧米・豪州市場は、11月も大きなブレなく推移。
- 米国:335,700人(+20.6%)
- 豪州:96,200人(+6.7%)
紅葉終盤、文化体験、地方観光といったテーマでの訪日が引き続き人気で、
単価の高い旅行需要が継続しています。
欧米豪は「量より質」。地方誘客・長期滞在・高付加価値体験との相性は引き続き抜群です。
■ 今月のポイント:中国規制は「全体減速」ではなく「構成変化」
今回の11月速報から見えてくる重要なポイントは、
中国の渡航規制=インバウンド全体の減速ではない、という点です。
確かに中国市場は短期的にブレーキがかかっていますが、
- 台湾・韓国
- 東南アジア
- 欧米・中東
といった市場がしっかりと需要を支えており、
訪日インバウンドは「多極化フェーズ」に完全に移行していることが、数字からも明確に確認できます。
■ まとめ:2025年後半は“分散型インバウンド”が前提に
11月は、
- 中国市場:規制影響が顕在化
- その他市場:安定・拡大
というコントラストの強い月となりました。
- 中国依存からの脱却は「理想」ではなく「必須」
- 台湾・東南アジア・欧米を組み合わせた設計が安定
- 地方×体験×長期滞在が今後の主戦場
中国市場は中長期的には再回復の可能性が高いものの、
2026年を見据えたインバウンド戦略では、複数市場を前提とした設計が不可欠になってきています。
訪日インバウンド市場は、国ごとに状況やリスクが大きく異なるフェーズに入っています。
カルチべートでは、最新データを踏まえた市場分析から、国・地域ごとの最適なインバウンド施策設計まで一貫してご支援しています。
インバウンド施策の検討・見直しをご検討の際は、ぜひお気軽にカルチべートまでご相談ください。
データ出典
日本政府観光局(JNTO)発表「訪日外客数(2025年11月速報)」
